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2005.10.18

明治神宮前駅での出来事 (竹内路子)

今日、地下鉄の明治神宮前の駅で、ある光景に出くわしました。
切符売り場の窓口に5-6人の人が並んでいてました。その先頭には、白髪混じりで60代位の身なりを整えた上品そうな方がどの切符を買うべきか分からず、立ち尽くしていました。その横で、50代くらいの大柄な女性が、響き渡る程の大声を上げていました。

「あんた、何もたもたしてんのよ!だから後ろがこんなに並んでんのよ!早く千円入れて買ったらいいじゃない、何やってんのよ」

60代の女性は、申し訳なさそうに、小柄の体を更に小さくして、取りあえず何か切符を買おうと、言われた通り千円札を札受にねじ込みましたが、なぜか千円札はそのまま返ってきてしまいました。見る私も胸を痛めたその瞬間、彼女は悲しそうに、列から離れていきました。

気になったので、その後、「大丈夫ですか、何か困ってないですか」と話しかけにいきました。その時の1秒間くらいだったと思うのですが、一瞬、彼女は私が何を言っているのか聞き取れなかったらしく、怯えて、こわばらせるような表情を見せた後、この人はただ単に大丈夫かと言ってるんだ、と分かった様子で、心からの安堵の顔で「ありがとうございます、大丈夫です。たしかカードがあったと思うので」と応えてくれました。

そうですか、お気をつけて、とその場を離れましたが、ホームへ歩いている間、少し切ない感情がずっとめぐっていました。

いつから、日本はこんな国になったのだろう。本当に頑張らなきゃいけない。困っている人を見たら、声を荒げて怒鳴りつけるのでなく、声をかけて手伝ってあげる。そんな人間として当たり前のことが東京では成り立たなくなっている。あの50代の怒鳴っていた女性は、どんな心の状態だったのだろうか。怒鳴る彼女の心や彼女が育ててきた子供を想像すると、切ない思いがこみ上げてきました。そして何よりも、この世の中、どこもかしこも腹立たしい、と思っているであろう彼女自身が、一番生き難く、辛いだろうなぁと思います。

どんなに地味でも、どんなに小さくても、人の気持ちを考えられて、工夫努力ができること。些細なことでも感謝でき、ありがたいと思えること。してあげたことより、してもらっていることの大きさを感じられること。年間何百人という学生、そして何十人という経営者を見ていて、そういうことが想像以上に大事なのだということに改めて驚かざるを得ません。そして、このセンスがある人は能力以上に多くの支援者や共感者を集めて成長していきます。

今、ETIC.で今行っているインターンシップは、しがらみや縁や絆が薄い現在の日本で、あえて師匠や弟子、パートナーというような、しがらみや縁や絆を作る仕組みです。その中でどれほど感受性が磨かれ、恩を感じ、伸びていけるか、そこが勝負だと思っています。重心の低い、足腰がしっかりした人間を育んでいくための仕組みとして、振り返っても、まだまだ改良できる点は沢山あります。外部の皆様方のお智慧をお借りしながら、本物の人材育成の仕組みを築き上げていきたい。千代田線に揺られながら、そんなことを思った帰り道でした。

投稿:by スタッフ 2005 10 18 | 固定リンク

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コメント

大変、心に響く内容でした。インターンというものをあえてしがらみであり絆を作るものと語り、そして育てる若者の姿を重心の低い足腰のしっかりした、、、と表現されたことにも驚きでした。大変、考える機会を頂いたな、と竹内さんに感謝です。

投稿者: アキモトショウジ@G-net (2005/10/19 18:26:23)

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